お金と仕事ヒント 17 · 約 8 分

献血を健康法にしない。「毒出し・脂質改善・心筋梗塞予防」の試験根拠はなく、頻繁な献血は鉄不足を招く

根拠の等級 A費用対効果:標準
ひとことで言うと

献血で毒出し、血中脂質改善、心筋梗塞予防ができるという話は確かではありません。献血を続けられる人はもともと健康で、その影響を考慮すると、年 1 回献血が増えるごとの死亡率低下は約 2 割から 7.5% に縮みます。群を無作為に分けた試験では死亡数に差はありません。一方、頻繁な献血で鉄が不足し、だるさや寒がりになることはあります。

お金お金をかけずに
時間少し時間が必要
努力少し頑張る

必要なこと

費用はかかりません。記入、採血、経過観察と休憩で 1 回約 1 時間です。その後も数週間、身体は失った鉄を補います。

期待できること

フィンランドの Kuopio 研究は 42〜60 歳の男性 2,862 人を平均約 9 年追跡しました。開始前 24 か月に献血した 153 人では急性心筋梗塞が 1 人(0.7%)、献血しなかった 2,529 人では 316 人(12.5%)でした(割合の差は P<0.0001)。年齢や冠動脈疾患の他の危険因子を調整後、献血者のリスクは約 88% 低く、相対リスク 0.12(95% CI 0.02–0.86、P=0.035)でした。ただし観察記録であり、無作為比較ではありません。北欧の SCANDAT データベースは献血者 1,182,495 人、累積 9,526,627 人年、死亡 15,401 人を含みます。年齢・性別などだけを調整すると年 1 回の献血増加あたり死亡率が 18.6%(95% CI 16.8%–20.4%)低い一方、「健康であり続けた人だけが献血を許可され続ける」影響も調整すると、7.5%(5.7%–9.4%)に縮みました。著者は、健康への利益を示す確証とは解釈できないとしています。FeAST ランダム化比較試験は症状のある下肢動脈疾患患者 1,277 人を、6 か月ごとの瀉血による鉄除去群と対照群に分けました。全死亡は 125/636(20%)対 148/641(23%)、HR 0.85(95% CI 0.67–1.08、P=0.17)。死亡と非致死性心筋梗塞・脳卒中の合計は 180(28%)対 205(32%)、HR 0.88(0.72–1.07、P=0.20)で、いずれも差は確認できませんでした。HR はハザード比で、1 なら差がないという意味です。INTERVAL ランダム化試験は全血献血者 45,263 人を、男性では 12・10・8 週、女性では 16・14・12 週の間隔に分けました。短い間隔では 2 年間の採血量が増え、男性の 8 週群は 12 週群より 1.69 単位多くなりました(95% CI 1.59–1.80)。生活の質、身体活動、認知機能に差はありませんでしたが、疲労、息切れ、めまい、ふらつき、夜間に脚が落ち着かないむずむず脚などの不調が増えました。ヘモグロビン・フェリチンの平均値は低く、低ヘモグロビンで献血延期となる回数も多くなりました(各 P<0.0001)。鉄不足は熱産生にも関わります。鉄欠乏性貧血の女性 10 人、貯蔵鉄は枯渇しているが貧血はない女性 8 人、対照女性 12 人が、28 ℃ の水に 100 分間入った研究では、貧血群の直腸温は 36.0±0.2 ℃、対照群は 36.2±0.1 ℃(P=0.001)でした。酸素消費量は 5.28±0.26 対 5.99±0.29 mL·min⁻¹·kg⁻¹(P=0.04)で、甲状腺ホルモンのサイロキシンとトリヨードサイロニンも低くなりました(P<0.002)。献血者は繰り返し健康確認を受けた集団なので健康効果があるように見えますが、「鉄を減らせば心臓を守れる」という仮説はランダム化試験では確認されませんでした。

適用条件と注意点

見直すのは「自分の健康のために献血する」という理由で、献血そのものではありません。血液を使うのは他者で、本書の受益者分類では第 ④ 区分の見知らぬ人です。自分に戻る具体的な利点は制度上のものです。中国の献血法第 14 条では、無償献血者本人が病院で血液を使う際、採取・保管・分離・検査費を免除し、配偶者と直系親族も省級政府の規定に従って免除・減額を受けられます。2024 年 1 月の国家衛生健康委員会通知では、28 の省級地域で、献血者と親族の省内病院での血液使用費を退院時に直接減免する仕組みが実施済みとしています。無償献血奉献賞の受賞者は、地域の「三免」政策に基づき公共交通、公費で設置・運営する公園、公立病院の一般外来診察料が無料になる場合もあります。献血は法定間隔を守ります。中国の献血法第 9 条は通常 1 回 200 mL、最大 400 mL、間隔は 6 か月以上とし、推奨年齢は 18〜55 歳です。表彰や団体の目標のために間隔を最短に詰めないでください。女性、低体重、月経量が多い人は鉄の余裕が少なく、繰り返し献血する人は自費でフェリチンを調べる選択もあります。献血後に疲れや寒がりが続く、横になると脚を動かさずにいられない場合は、「元気が抜けた」と自己判断せず、血算とフェリチンを調べます。鉄不足なら医師に従って補充し、献血間隔も延ばします。寒さへの反応の研究は貧血群 10 人だけで、仕組みを説明する材料であり、何割に起きるかを示す数字ではありません。

研究と参考資料

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