中国でオンラインプラットフォームを運営するには:許認可とサーバー選び

第26章の補足資料です。許認可、運営中の義務、サーバー選びを3つの表にまとめ、誤解しやすい点を説明します。各項目の詳しい出典は第26章にあります。会社設立や税務申告は第12章、雇用されて働く開発者・技術者が知っておきたい境界線は第11章を参照してください。

ここで扱うのは中国本土の制度です。日本で事業を始める際の許認可一覧ではありません。

1. まず、実際に行う事業を分類する

1つのサイトが複数の業務区分に該当することは珍しくありません。その場合、許可を1つ取ればすべて済むとは限りません。

行うこと 業務区分 必要な手続き・許可 主な根拠
無料の情報サイト、個人ブログ、企業サイトを運営する 非営利性インターネット情報サービス ICP届出。営業許可ではなく、開設前に所管当局へ届け出る手続き インターネット情報サービス管理弁法 第4条
会員料金、追加サービス料金、コンテンツ代金を利用者から受け取る 営利性インターネット情報サービス 付加価値電気通信業務経営許可のうち情報サービス業務 同弁法 第3・4・7条
売り手と買い手をつなぎ、取引や注文を処理する オンラインデータ処理・取引処理業務 付加価値電気通信業務経営許可のB21区分 電気通信業務分類目録〈2015年版〉B21
配信者が出演するライブ配信やゲーム配信を行う オンライン実演 経営範囲にオンライン実演を含むネットワーク文化経営許可証 オンライン実演経営活動管理弁法 第4条
動画番組を制作する、他の番組を集めて配信する、利用者に動画を投稿させる インターネット視聴覚番組サービス 情報ネットワークによる視聴覚番組伝達許可証 インターネット視聴覚番組サービス管理規定 第7・8条
ライブ配信で商品を販売する ライブ配信マーケティング 上記の事業内容に応じた許認可に加え、出店者の確認や記録の保存 ライブ配信マーケティング管理弁法〈試行〉第8条
ニュース情報を提供する インターネットニュース情報サービス インターネットニュース情報サービス許可証 インターネットライブ配信サービス管理規定 第5条
自社のデータセンターでホスティングや回線を提供する インターネットデータセンター業務、インターネット接続サービス業務 付加価値電気通信業務経営許可のB11・B14区分 電気通信業務分類目録〈2015年版〉B11・B14

2021年に中国の7当局が出した指導意見では、ライブ配信を3種類に分けています。営利目的のオンライン実演を行うプラットフォームには、ネットワーク文化経営許可証とICP届出が必要です。インターネット視聴覚番組サービスを提供する場合は、視聴覚番組伝達許可証、または全国ネットワーク視聴覚プラットフォーム情報登録管理システムへの登録に加えて、ICP届出が必要です。ニュース情報を提供する場合は、ニュース情報サービス許可証が必要です。

つまり、出演・実演を扱うのか、視聴覚番組を扱うのか、ニュースを扱うのかを先に決めます。「ライブ配信」という呼び方が同じでも、必要な許可は同じではありません。前の2種類にはICP届出も必要です。

間違えやすい3つの点

個人名義では付加価値電気通信業務の許可を申請できません。 申請条件の最初に、運営者は適法に設立された会社であること、とあります。身分証だけを持って個人で申請することはできません。1つの省内だけで営業する会社の登録資本金は100万元以上、省をまたいで営業する会社は1,000万元以上です。書類提出後の審査期間は60日、許可の有効期間は5年です。この許可が必要な有料サービスを始めるなら、まず会社設立が必要になります。手続きは第12章を参照してください。金額はいずれも人民元です。

視聴覚番組の許可は、通常の民間スタートアップには取得が難しい制度です。 申請条件は、法人格を持つ国有独資または国有持株企業であることです。個人起業家が長編動画や自社制作番組の配信を考える際、取得できる前提で計画を立てるべきではありません。オンライン実演のライブ配信であれば、対応するのはネットワーク文化経営許可証ですが、最終的には実際の事業内容で判断されます。

「ECプラットフォームはすべてEDI許可が必要」と明記した公式文書は、ここで引用した資料からは確認できません。 EDIとは表のB21区分、正式にはオンラインデータ処理・取引処理業務を指します。中国工業情報化部の案内は、事業の区分に応じて必要な電気通信業務経営許可を申請する、としています。同部は別の回答で、配車プラットフォームと、権益・大口商品取引のプラットフォームについてはウェブサイトの届出のみでよいとしています。一律の決めつけではなく、自社の事業がB21に該当するかを所在地の通信管理局に確認する必要があります。申請を始める前に一度電話し、取引の流れを具体的に説明してください。

2. 開業後も続くプラットフォームの義務

許可の取得は開業の出発点です。営業が始まった後は、次の対応を継続する必要があります。違反時の罰則は第26章の各項目で扱っています。

義務 頻度・保存期間など 根拠
出店者の情報を確認して登録する 少なくとも6か月に1回、再確認・更新 オンライン取引監督管理弁法 第24条
出店者の身元情報を報告する 毎年1月と7月に市場監督管理当局へ提出 同弁法 第25条
税務関連情報を報告する 各四半期終了後の翌月中に税務当局へ提出 インターネットプラットフォーム企業の税務関連情報報告規定 第4条
取引情報を保存する 取引完了日から3年以上 電子商取引法 第31条
ライブ配信の内容とログを保存する 60日 インターネットライブ配信サービス管理規定 第16条
オンライン実演の映像を保存する 60日以上 オンライン実演経営活動管理弁法 第13条
ネットワークログを保存する 6か月以上 サイバーセキュリティ法 第23条第3号
権利侵害通知に対応する 出店者の反論を申立人へ転送し、15日経過しても次の手続きの通知がなければ措置を解除 電子商取引法 第43条
苦情・通報窓口を設ける 目立つ場所に置き、利用しやすくする オンライン情報コンテンツ生態系ガバナンス規定 第16条

保存期間は情報の種類ごとに別々に数えます。取引情報は3年、ライブ配信の内容は60日、ネットワークログは6か月です。出店者の身元情報は、その出店者がプラットフォームを退店してから3年間保存します。最も短い期間を全データに当てはめず、種類ごとに適用される最長の期間を満たす設計にしてください。

3. サーバーを選ぶ前に答えたいこと

料金を比較する前に、次の条件を整理します。

確認すること 答えがこうなら 選び方の目安
サイトが丸1日止まっても耐えられるか はい 安価なVPS〈仮想専用サーバー〉でも足りる場合がある
会員登録、取引、アップロードがあるか はい 大手クラウドの仮想サーバー。全体のバックアップと一時的な増強が容易なもの
サーバー管理の担当者がいるか いいえ 物理サーバーをデータセンターに持ち込む運用は避ける
回線や機器が最大の費用か はい。管理担当者もいる この段階でコロケーションを検討する

小規模な事業者を使うなら、先に許可を確認します。 データセンターでのホスティングや接続回線の提供自体が、中国では許可を要する付加価値電気通信業務です。工業情報化部の電気通信業務市場総合管理情報システム tsm.miit.gov.cn で、会社の正式名称を検索します。必要な許可を確認できない会社は候補から外してください。極端に安いサービスには、設備の過剰販売、運営者の失踪、上位回線の遮断といったリスクがあります。許可のある事業者であれば通信管理局への苦情申立てができますが、無許可事業者では相談先の特定すら難しくなります。

中国本土に置くか、国外に置くか。 本土のサーバーでは所定の届出が必要で、接続事業者は未届のサイトに接続を提供できません。国外に置けば、そのホスティングに伴う届出を避けられる場合があります。しかし、利用者や事業が中国本土にあるなら、第26章の第5~10項に挙げるプラットフォームの義務まで消えるわけではありません。

国外サーバーには、個人情報の越境移転という別の負担もあります。本土の利用者情報を国外サーバーへ送ればデータの国外提供となり、個人情報保護法第38条の条件のいずれかを満たす必要があります。また、包括的な利用規約への同意に埋め込むのではなく、本人から個別の同意を得ます。原資料の人数基準は、その年の1月1日からの累計です。機微でない個人情報については、10万人未満では人数を基準とする3つの手続きは不要、10万人以上100万人未満では標準契約または認証、100万人以上では安全評価の申告が必要と説明しています。これは概略であり、機微な個人情報や重要データに関する別の基準、適用除外を網羅したものではありません。

バックアップ。 少なくとも2か所に保存し、同じ事業者の同じリージョンに両方を置かないようにします。この助言は経験則であり、ここで引用する法令上の義務ではありません。

4. この資料で確認できる範囲

  • 条文の文書番号、条番号、リンクは、第26章の出典欄を基準にしてください。
  • 制度の改正が多い分野です。原資料の確認時点は2026年9月です。実際に申請や判断をする前には原文を開き直してください。特に、サイバーセキュリティ法は2026年1月1日から条番号が変わり、未成年者によるライブ配信への投げ銭ルールは2026年4月に年齢別の区分へ改められています。
  • 原文を確認しきれなかった点は確認記録に記載されています。主なものは、すべてのECプラットフォームにEDI許可を義務づける明文があるかという点と、無許可のネットワーク文化・視聴覚サービスを直接「不法経営罪」として扱うとされる司法解釈です。