下痢ではまず経口補水液で水分を補い、5歳未満に下痢止めを自己判断で与えない
下痢でまず大切なのは、下痢を止めることより脱水を防ぐことです。経口補水塩を添付文書どおりの水量で溶かし、飲ませます。ジュースなどで代用しないでください。糖分が多すぎる飲み物は、かえって脱水を悪化させることがあります。5歳未満の子どもにロペラミドなどの下痢止めを自己判断で与えると、重い腸閉塞など、命に関わる副作用につながるおそれがあります。
必要なこと
中国では経口補水塩1箱が数元〜十数元程度です。家庭に1箱備えておきます。
期待できること
WHOの2005年の下痢治療マニュアルは、小児の急性または遷延性の下痢について、下痢止めと制吐薬には実際の利益がなく、脱水を予防せず栄養状態も改善しないと説明しています。一部には危険で、ときに致死的な副作用があり、同マニュアルは5歳未満への使用を禁止する表現を用いています。ロペラミドなど腸の動きを遅くする薬は、重篤で致命的になり得る麻痺性イレウスを起こし、感染を長引かせる可能性があります。また、糖分が多すぎる飲料は体内の水分を腸内に引き込み、高ナトリウム血症を伴う脱水を起こすことがあると説明しています。例として、清涼飲料水や市販の果汁飲料が挙げられています。同マニュアルが勧めるのは、総浸透圧245mOsm/Lの低浸透圧経口補水液です。旧処方に比べ、予定外の静脈輸液を33%減らしました。8件の試験をまとめたCochraneレビューも同様の方向の結果で、予定外の静脈輸液のオッズ比は0.59(95%信頼区間0.45〜0.79)、オッズが約4割低いという結果でした。
適用条件と注意点
購入時は説明書の浸透圧を確認し、低浸透圧の製品を選びます。同マニュアルは、子どもの血便は細菌性赤痢によることが多く、医師による評価と抗菌薬治療が必要で、家庭の補水だけで済ませてはいけないと説明しています。制吐薬全般についての記述は2005年の資料に基づくもので、現在の個々の薬の適応を一律に判断するものではありません。効果を「中」としたのは、ここで示した数字が二種類の補水液を比較した結果であり、補水した場合としなかった場合の比較ではないためです。
研究と参考資料
World Health Organization (2005). The treatment of diarrhoea: a manual for physicians and other senior health workers, 4th revision. https://iris.who.int/handle/10665/43209;Hahn S, Kim S, Garner P (2002). Reduced osmolarity oral rehydration solution for treating dehydration caused by acute diarrhoea in children. Cochrane Database of Systematic Reviews, (1):CD002847. https://doi.org/10.1002/14651858.CD002847