健診で胆嚢結石が見つかっても、痛みがなければ、それだけで予防的に胆嚢を取らない
胆嚢に石があっても一度も痛んだことがない人の大半は、その後も無症状です。イタリアで 580 人を約 9 年追うと 78% は症状が出ず、米国で 135 人を約 4 年追うと手術を受けたのは 7% でした。英国のガイドラインも、偶然見つかった無症状の胆嚢結石は、条件を満たせば症状が出るまで治療不要としています。
必要なこと
費用はかからず、全身麻酔の手術と入院を 1 回避けられます。代わりに、すぐ受診すべき症状を覚えておきます。
期待できること
イタリアの MICOL 調査は 29〜69 歳の 11,229 人に超音波を行い、856 人に胆石を発見しました。このうち無症状の 580 人を平均 8.7 年追跡し、453 人(78.1%)は無症状のまま、61 人(10.5%)に軽い症状、66 人(11.4%)に重い症状が出ました。追跡中の胆嚢摘出は全体で 189 件、その 41.3% は無症状者への手術でした。著者は、多くの患者には待機的管理、つまりすぐ手術せず観察する方法が引き続き有効と結論しています。米国の管理型医療組織 HMO は、胆石と診断された 691 人を平均 78±61.6 か月追跡しました。無症状の 135 人の追跡期間は 58±50.2 か月、中央値 46.3 か月で、症状が出たのは 10%、手術は 7% でした。全体の死亡 50 件中、胆道関連は 2 件だけで、どちらも有症状群でした。著者は、無症状の「沈黙の胆石」は症状が出る前に手術する必要はないとしています。英国 NICE CG188 第 1.2.1 項は、胆嚢と胆道が正常で、偶然無症状の胆嚢結石が見つかった人には、症状が出るまでは治療不要と説明するよう定めています。「いつか痛むなら若いうちに一度で取ろう」という直感が、予防的手術を割に合うように見せています。
適用条件と注意点
対象は、石が胆嚢内にあり、一度も痛んだことがない場合です。総胆管の結石は別です。 同ガイドライン第 1.3.1 項は、総胆管結石は症状の有無にかかわらず胆管内の石を除去し、胆嚢摘出も行うとしています。右上腹部・上腹部の持続する差し込む痛み、発熱や悪寒、白目・皮膚の黄ばみ、尿が濃くなる症状があれば、その日のうちに受診し、この項目を理由に我慢しないでください。画像を見た医師が手術を勧めたら、胆管への影響、併存するポリープ、胆嚢壁の異常など、どの理由に基づくかを聞きます。この結論で医師を退けるのではなく、理由もなく「石が見つかったから切る」ことを避けます。2 研究は無作為比較ではなく経過観察ですが、治療の優劣ではなく、手を加えない場合の経過を問うには適しています。追跡は 4〜9 年で、さらに長ければ症状が出る割合は増えます。
研究と参考資料
Festi D, Reggiani ML, Attili AF, et al. (2010). Natural history of gallstone disease: Expectant management or active treatment? Results from a population-based cohort study. Journal of Gastroenterology and Hepatology, 25(4), 719-724. https://doi.org/10.1111/j.1440-1746.2009.06146.x。McSherry CK, Ferstenberg H, Calhoun WF, Lahman E, Virshup M (1985). The natural history of diagnosed gallstone disease in symptomatic and asymptomatic patients. Annals of Surgery, 202(1), 59-63. https://doi.org/10.1097/00000658-198507000-00009。National Institute for Health and Care Excellence (2014). Gallstone disease: diagnosis and management. NICE guideline CG188、第 1.2.1・1.3.1 項。https://www.nice.org.uk/guidance/cg188/chapter/Recommendations