健康上の利点も考える。ただし観察データとして割り引いて読む
既婚者は非婚者より同じ期間の死亡リスクが約 12% 低く、結婚経験のない人は既婚者より約 24% 高いという結果があります。ただし結婚そのものの効果とは限りません。もともと健康で、所得が高く、人付き合いの多い人は、結婚しやすく長生きもしやすいからです。主に欧米の数字で、中国では規模感の参考にとどめる必要があります。
必要なこと
お金も時間もかかりません。既婚者の死亡率が低いという数字は、二つの事柄の関連であり、結婚が寿命を延ばした証明ではない、と覚えておきます。
期待できること
高齢者を対象とするメタ分析は 53 の比較、25 万人超をまとめました。既婚者と非婚者を比べた全死因死亡の RR は 0.88、95% CI は 0.85–0.91 で、同じ期間の死亡リスクが約 12% 低い結果でした。RR はリスク比、CI は信頼区間です。同じ分析で、死別は 1.11、離婚・別居は 1.16、未婚は 1.11 と、それぞれ約 11%、16%、11% 高く、男女差はありませんでした。最も保守的な推定は RR 0.94、低下は約 6% だけです。別のメタ分析では、95 文献・5 億人超を用い、結婚経験のない人を既婚者と比較しました。HR 1.24(1.19–1.30)で、同じ期間の死亡リスクが約 24% 高く、年齢が上がるほど差は縮まりました。性別に分けた別のメタ分析は 21 研究・789 万人超を対象とし、男女とも非婚と全死亡・がん死亡・心血管死亡との関連を認めました。心血管死亡と全死亡の差は男性で大きく、著者が示す 31% と 9% は、婚姻状態と死亡の関連を示すリスク比について、女性のリスク比と男性のリスク比を比べた差です。脳卒中死亡で 31%、全死因死亡で 9% という値であり、未婚男性の実際の死亡率が未婚女性よりそれだけ高いという直接比較ではありません。
適用条件と注意点
議論があります。結婚する人は最初から無作為な集団ではなく、健康、所得、人付き合いが結婚のしやすさと寿命の両方に関わります。三つとも既存集団の観察データをまとめたもので、群を割り付けた比較ではありません。著者たちも出版バイアスや方法上の限界を指摘しています。Roelfs の分析では厳密な研究ほど差が小さくなりました。主に欧米の対象者なので、中国に当てはめる際は規模感の参考にしてください。
研究と参考資料
Manzoli L, et al. (2007). Marital status and mortality in the elderly: a systematic review and meta-analysis. Soc Sci Med 64:77–94. https://doi.org/10.1016/j.socscimed.2006.08.031;Roelfs DJ, et al. (2011). The rising relative risk of mortality for singles: meta-analysis and meta-regression. Am J Epidemiol 174(4):379–389. https://doi.org/10.1093/aje/kwr111;Wang Y, et al. (2020). Sex differences in the association between marital status and the risk of cardiovascular, cancer, and all-cause mortality: a systematic review and meta-analysis of 7,881,040 individuals. Glob Health Res Policy 5:4. https://doi.org/10.1186/s41256-020-00133-8