お金と仕事ヒント 37 · 約 3 分

含み損のある株も事前のルールどおり売る。買い増しで平均取得価格を下げて挽回しようとしない

根拠の等級 A費用対効果:標準
ひとことで言うと

人は利益が出た株を売り、損失が出た株を持ち続けがちです。米国の 1 万口座の 7 年間の記録では、値上がり株は値下がり株より 5 割以上売られやすく、同じ投資家は含み損のある株を買い増しする傾向もありました。しかし、売らずに残した損失株の翌年の平均成績は、売った利益株より 3.4 ポイント低いものでした。

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努力少し頑張る

必要なこと

費用はかかりません。難しいのは、損失を認めて売ることです。

期待できること

米国のディスカウント証券会社 10,000 口座について、1987〜1993 年の全取引記録を調べた研究です。利益株の実現率(PGR)は 0.148、損失株の実現率(PLR)は 0.098 で、差は 0.050、t 値は 35 超でした。日ごとに見ると利益株は損失株より 50% 以上売却されやすかったことになります。同じ口座では損失株の買い増しも多く、再購入率は損失株 0.135、利益株 0.094、t 値は 19 でした。「持ち続ければ戻る」という見方も検証しましたが、結果は逆でした。売った利益株のその後 1 年間の超過収益は、保有を続けた損失株より平均 3.4 ポイント高くなりました。超過収益とは市場指数を上回った分です。著者が平均値で試算した例では、同じ 1,000 米ドル分を売る場合、利益株より損失株を売ったほうが、その後 1 年のリターンが約 4.4% 高くなります。この 4.4% には損失を確定して早く税負担を軽減できる効果も含まれ、米国の税制に基づく計算です(米国、1987〜1993 年)。

適用条件と注意点

本項目は「売るかどうか」、項目 15は「頻繁に売買しない」という話で、矛盾しません。事前のルールに従えば、むしろ売買回数を減らせます。値下がり時に買い増せば平均取得価格が下がるのは計算上正しくても、それを挽回策と考えるのは別です。実際にはその 1 銘柄に投じる金額を増やしています(項目 19)。節税部分は米国の制度に基づくため、中国や日本にそのまま当てはめられません。原文はそれ以外の示唆は残るとしていますが、対象は 1980〜1990 年代の米国口座で、中国 A 株とは取引費用も税制も異なります。個別の投資助言ではありません。

研究と参考資料

Odean T (1998). Are Investors Reluctant to Realize Their Losses? The Journal of Finance 53(5):1775-1798. https://doi.org/10.1111/0022-1082.00072